パリのキッチンで四角いバゲットを焼きながら [ 中島 たい子 ]

最近、自分は看護師としての未来を全く描けていないことに気が付いた。

どのように仕事に向き合っていくか、じゃなくてどのように仕事に振り回されずにいられるか、しか考えていない。

自分の中で看護師になることを避けては絶対後悔すると確信があるから、進路に悩みはないんだけど。

 

自分の関心事が逸れていて、さすがに不安になる。

 

関心事は旅やインテリア、料理。

1人暮らしの物件や家具の配置、休日の過ごし方について一生懸命考えたり、国内外問わず素敵な暮らしをしている人の動画を見ふけったりしてる。

理想は、窓が多い理想の部屋で環境にやさしい洗濯や洗い物をして、動線の良いキッチンで季節に合った食事をする生活。

 

 

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欧米の人々の暮らし方を参考にして、自分の暮らしに取り入れることで、自分が少しでも生きやすくなるんじゃないかと思ってた。でもそれはyes and noだったってことが、この本を読んでわかった。

なぜなら暮らしやすさのコツは定型ではないし、その土地の気候、風土、性格、ライフスタイルに合ったものじゃないと意味がないから。

ヨーロッパは乾燥しているから、乾燥していることに強い。逆に日本は、湿気があるから、湿り気があることにこだわる。その国独自の機構や土壌が、質感や、好み、さらには料理法、保存法までも生み出している。

 

本当はそんな生活を送ることが大事なんじゃなくて、そんな生活を送って

一体どんな人間になりたいのか

っていうところが大事だった。

インテリアをいくら欧米スタイルに変えたって、部屋の中を居心地の良い場所に変えたって、自分が理想としているのはその背景にある。

きっとこの暮らしをする人は、自分に合っていると思える仕事をしていて、ワークライフバランスがとれており、部屋に招く友達も多く、たまに恋人と素敵なディナーを作ったりするんだろうな。家にいても社会とつながっていて自信と慈愛に満ちていて自立した女性なんだろう。そういう人に憧れるから(自分が理想になれていないから)そうしたコンテンツを好んでいるんだろうと思う。

変わりたいと思っていたのに目を背けていた。自分を変えるのは簡単じゃないから、弱いところに向き合いたくないから。

 

(大学生になって、初めて友達と2人で台湾旅行に行ったとき。帰りの飛行機で、次はここの国に行きたいね~とか話していた時。なにかを疑問に思って、どうして旅にでるの?と聞いたことがある。友達は困惑しながら見たい景色とか食べたいものがあるからって言ってたな。私はその時旅行に行くことでそれ以上の何かが得られるんだと感じてた。今考えればそれは自分のものの考え方、人との接し方、生き方だったんだと思う)

 

 

 そんなとき京都のお寺で1時間半たっぷりと写経する機会があった。無心になり自分と対面することで、自分は傲慢で周囲に求めることが多く、そして意外に心が弱いことに気が付いた。少し前までは、大学病院を3年で辞めて、結婚して子育てして訪問看護師とかしながら趣味に時間を費やす、が自分の理想だと信じて疑わなかった。今ははっきり違うと分かる。

 

仕事をじぶんにとって有益なものにするには

「何を目的に、どのような手段でおこなうのか」

が大切だという。どのような、は仕事の内容だったりする。大事なのは「何を」これは個人が自由に持っていていいものだ。

 

素敵な観光スポットなどは比較的他の人に教えたくない自己中心的な私が、人のためにしてあげたいと思うことが漠然と一つある。

それは日本で暮らす人(特に若者)が、日本社会と世界のギャップの根源的な部分を理解して、自分たちでベターな選択ができるような社会にしたい。人との関わり方、教育、仕事、食事、インテリア、なんでもいい。

特に海外旅行が好きな子なんかは、日本ってつまらない。学校に行く意味を感じない。人間関係はもっとフラットであるべき。とか、働き方に疑問を感じることが多いと思う。そういうなんで??って疑問に答えてあげたい。理由は風土上のこと、宗教や歴史が関係していて複雑だと思うけど、多角的に自分が住んでいる地域を、国をみて、少しでも息苦しさを開放してあげたい。

 

自分のしたいことは相変わらず漠然としてるけど、今の気持ちを忘れないようにここに。